どうもお久しぶりです。 ちゃんと生きています(笑)。
前回の投稿からかなり時間が空いたのには理由がありまして、実は最近になって今まで乗っていたターボプロップ機「Dash-8」乗務から、ジェット機「CRJ」乗務に異動になりまして、そのための訓練を受けていました(今もまだ訓練中ですが)。 この訓練が長くて、10月末に始まり、11月中は10日ほどの休みを除いてあとはずっと訓練、そして12月も中旬まで訓練というスケジュールでした。 昨日、CRJのPilot Proficiency Check (PPC)に合格しまして、僕にとっては初めてとなるジェット機の操縦資格を取得しました。 訓練内容などについてはまた後日別の投稿で書こうかと思います。
CRJという飛行機は「Canadair Regional Jet」という名前の頭文字を取ってつけられた名前で、「シーアールジェー」と一般的に呼ばれます。 略して「RJ」と呼ぶ人もいます。 この飛行機、カナダ・ボンバルディア社が製造している小型ジェット機で、日本でもJ-AIRとIBEXなどが飛ばしています。 僕が働く会社ではCRJ200という型と、CRJ705という型の2種類を運航していて、僕はそのどちらにも乗務することになります。
(写真上:J-AIRのCRJ-200 ウィキペディアより引用)
CRJ-200は50人乗りの小型リージョナルジェット機です。 もともとはボンバルディアが製造している「Challenger」という飛行機をベースに胴体を引き伸ばして作られた飛行機なんだそうです。 この「チャレンジャー」は世界各国の裕福なセレブ達のプライベートジェット機として人気の小型ジェット機です。
(写真上:一般的なCRJ-200のコクピット内 同じくウィキペディアより)
CRJのコクピットは通称「グラスコクピット」と呼ばれるもので、従来の計器類をほぼすべてCRTスクリーンなどで置き換えたデザインになっています。 真ん中の2画面がEICAS(アイキャス)Displayという画面で、そこに主にはエンジン計器類や着陸装置、フラップの位置情報、または乗務員への警告メッセージなどが表示されます。 各操縦席の前にはPFD, MFDと呼ばれる画面が計2つあり、それらで飛行機の位置や姿勢の情報などを表示できるようになっています。 今まで乗っていたDash-8は古風な飛行機(笑)だったので針で表示されるタイプの計器がたくさんありましたが、今回のCRJはだいぶモダンな感じがします。
(写真上:CRJ-900 またまたウィキペディアより)
CRJ-705は、CRJ-900という飛行機の座席数を75席に減らし(契約上の理由によるもの)、Jクラス(ビジネスクラス)を設定した配列になっている飛行機です。 CRJ-200に比べると胴体が長く、とても凛々しい「飛行機らしい」見た目になっています(個人的な見解ですが)。
日本ではあまりCRJに乗る機会はないと思いますが、北米ではとてもポピュラーな飛行機です。 ヨーロッパでもCRJを運航している会社(リージョナルエアライン系)が多いそうです。
だいたいのお客さんはCRJ(またはDash-8もそうでしたが)を初めて見ると「んやだ〜、ちいさ〜い(苦笑)」という声を上げます。 確かに日本でよく見るボーイング737やエアバス320などと比べたら小さいです。 ですが、CRJは実際はスポーツカーみたいな高性能をもった飛行機なのです。
巡航高度、巡航速度などを見ると他の中型〜大型旅客機に匹敵する、もしくは上回る性能を発揮します。 実際、以前にエアバスのコクピットのジャンプシートに乗っけてもらった時、その上2000フィートを僕の会社のCRJ-705がすいすい〜っと追い抜いていったことがあります。 その最高速度、約マッハ0.82~0.85となっていますから、限りなく音速に近い速度で巡航することができます。 こりゃすごい!(笑)
ジェット機の飛行経験があると将来に役に立つということで今回ジェット機乗務への異動をリクエストしました。 今まで飛ばしていたDash-8にもようやく慣れ、毎日のフライトが普通にこなせるようになって楽しくなっていたところで今回の異動。 またゼロからのやり直しです。 さすがにこの会社で2年弱働いてきたので運航の基礎はわかっています。 ですから、今回の訓練は初めてDash-8の訓練を受けた時よりはスムーズにいったという感じがしましたが、やはり新しいことを学ぶにはかなりのエネルギーが必要になるということを再確認しました。 脳がとても疲れました(笑)。 しばらくは訓練は遠慮したい気持ちです。
あと数日で訓練プログラムもすべて修了します。 そしたらようやく自宅に帰れます。 自宅で4日ほどゆっくりしたあと、line-indoc(実際のフライトを通して行うOJTのようなもの)が始まります。 これをクリアして、最終的にline checkをパスすると晴れて一人前の副操縦士として認められることになります。 CRJだと飛ぶルートも、速度も、目的地も違うので、これも学び直さなければいけません。 しかも、JFKやWashington DCといったアメリカの忙しい空港にも行くこともあります。 そう考えると結構緊張します。 Line indocでは最初はカナダ国内、それからアメリカのヒューストン(テキサス州)まで飛んでいきます。 ヒューストンは片道4時間近くのフライトです。 今までは最高でも2時間くらいしか飛ばなかったので、そういうところも慣れていかなければいけません。
なにはともあれ、ジェット機のパイロットになれたというのはとてもうれしいです。 今までDash-8を飛ばせたことにも感謝しています。 飛ばしていて楽しい飛行機でしたし、一緒に飛んだ機長達もいい人が多くて良い経験をいっぱいできました。 これからはジェットなのでだいぶ環境が変わりますが、きっと楽しいことが待ち受けていると信じて、頑張っていこうと思います。
以上、ご報告でした。
(つづく)