2017-07-07

リトル・ベネチア。

 先日、またロンドンへのフライトがありました。 今回はトロントからハリファックスまで飛んで、そこからロンドン・ヒースロー空港へのフライトで、帰りはロンドンからオタワまでのフライトで、オタワからトロントまではデッドヘットという感じでした。 

 ハリファックスからロンドンまでのフライトは5時間ちょっとと、それほど長くはありません。 ただ、ハリファックスを出発するのがトロント時間のちょうど真夜中くらいで、夜通し飛んで、ロンドンに到着するころにはトロント時間で午前5時過ぎくらいになります。 これがロンドン時間だと午前10時頃。 もうなにがなんやらわかりません(笑)。

 ロンドンからオタワは結構長くて、約7時間のフライトです。 そもそもオタワはハリファックスよりも西に位置し、さらに西向きのフライトになると偏西風のせいで向かい風で飛ぶのがほとんどです。 そのため、飛行時間が長くなります。 この7時間のフライトがが結構きつい・・・(苦笑)。 いっそのことフライト時間がもっと長くなれば規定に則って「オーグメントパイロット」という3人目のパイロットが乗務することになります。

 このオーグメント(augment)とは「増大させる」という意味の言葉で、文字通り、「飛行可能な時間・距離を増大させるためのクルー」という意味になりますでしょうか。 飛行時間が10時間を超えるようなフライトになると必ずオーグメント、または、リリーフパイロットという3人目・4人目のパイロットが乗務し、フライトの途中で交代しながら休憩・仮眠を取ります。 こうでもしないと到達できないところがあるんですね。 例えばトロントから中国へのフライトなどは飛行時間が軽く10時間を越えますから、これを二人だけのクルーで飛んでいるとそもそも法的に乗務できない場合が出てきます(一度に乗務できる時間は制限されていますので)。 

 なにはともあれ、今回のロンドンまでのフライトもいつもどおりスムーズに行きました。 相変わらずイギリス英語の航空無線に苦労させられることもありますが、3度目ともなるとだいぶ慣れてきました。 何事も慣れですね、本当に。 ロンドンは毎回どこかでホールド(空中待機)させられます。 我々がロンドンに到着するころに、同じようにロンドンの空域に入ってくる航空機の数が多すぎて管制官がさばききれなくなるので、どこかで空中待機をさせられます。 今のところ毎回オッカムという場所にある航空無線標識局の上でぐるぐる〜っと旋回させられます。 だいたい時間にして10〜15分ほど。 そして我々の着陸の順番が来るとレーダーベクターとスピード制限で細かくコントロールされ、最終的に着陸ということになります。 ロンドン空港は独特なあるあるが結構あります。 これはまた次回にでも。

 今回のレイオーバーでもいろんなところに足を運びました。 まずはオールドボンド通りなどの商店街を通ってイギリスで有名な靴屋さんを何件か回りました。 ちょうど今はセールの時期なので、いたるところでバーゲンをやっていました。 僕は結局なにも買いませんでしたが、イギリスの昔からの職人が作る革靴というのはとても魅力的で、お店に入るとレザーの匂いに圧倒されます。 そういう体験ができるのも実際にロンドンに行ったからこそ。 良い体験をしました。 それからはピカデリーサーカスやオクスフォードサーカスといった有名な通りを歩きました。 翌日にはランニングで運河沿いに散策してみました。 

 グーグルマップを見ていて気付いたのですが、ロンドンには「リトル・ベネチア」という場所があります。 運河が交わり、ボートハウスなどがあってなかなか雰囲気が良いです。 カナダに帰る数時間前にここを走ってきました。 ワイドボディのパイロットになって海外に来ることが増え、こういう貴重な経験をレイオーバー中にできることがなかなか楽しいです。 時差ボケや夜中中フライトするなど辛いこともありますが、それでもナローボディーで国内を飛んでいるのとは違った楽しみがあると思います。

 では今回のレイオーバーの様子を写真でどうぞ。
 
 ハリファックスで出発前に食べた夕食。 ラザニアでした。

ロンドンのイーストエンド。 テロなどがあったせいか、至る所に「ロンドンはすべての人々を歓迎します」的なメッセージが掲げられていました。 日本語でようこそって書いてあるのもちょっとおちゃめ。

ピカデリー・サーカスと2階建てバス

リトルベネチアにつながる運河とボートハウス。 ボートハウスには実際に人が住んでいて、船の外でモーニングティーを飲んでいる人を見かけることもあります。

リトルベネチア。 船のクルーズなどがあるみたいです。


 ロンドンを出発し、7時間ほどのフライトを経てオタワに到着しました。 それから税関審査・入国審査を経て、30分後にはトロント行きのデッドヘットフライトに乗っていました。 予定では2時間ほど後のフライトでトロントまでデッドヘットの予定でしたが、うまいこと早い便に乗ることができました。 こういうのはベテランパイロットが良く知っています。 今回も一緒に飛んでいた機長がいろいろ知っている人で、「2本早いフライトで帰るぞ!」って意気込んでいて、見事に早い便に乗ることができました。 一般の乗客として旅行していたら30分で入国審査や身体検査場を通過するのはほぼ不可能です。 我々はクルーバイパスと呼ばれる空港で働く職員などが通る特別な入り口を通るので圧倒的に早く身体検査などを通過することができます。

 

(つづく)