2017-11-13

南国・バルバドス。

 昨日まで3日間、南米カリブ海にあるバルバドスまで行って来ました。 クルースケジューラーから電話があり、「バルバドスまでレスキューミッションがあるから行ってきて〜」って言われましたが、はたしてバルバドスとは一体どこにあるのかさっぱりわかりませんでした。 マップで見てみたら、こんなところにありました (写真下)。

  
 カリブ海のもっとも東にあり、東は海を超えるとアフリカという位置です。 途中には「バミューダ・トライアングル」でおなじみのバミューダ島があり、そこの空域を通過して南下します。 赤道にもかなり近く、南米はすぐそこです。 こんなに南に飛ぶのは今回が始めてでした。

 で、なんでこんなところに行くことになったかというと、なんでもカリブ海の大型クルーズ客船が航海中にエンジンルームからの火災で運航不能になったらしく、そのクルーズ客船の乗客数千人がバルバドスで足止めを喰らっているということで、その乗客(ほとんどがアメリカ人)をアメリカのニューヨーク(ニューアーク空港)まで送り返すためのチャーター便を飛ばすことになったそうで、 そのフライトを担当するために呼ばれました。 3日間のペアリングで、1日目は乗客ゼロでパイロット数名とフライトアテンダントのみを乗せてトロントからバルバドスまで飛びました。 飛行時間にして5時間ちょっとです。 

 初日の到着は夜でした。 空港は結構ガランとしていていました。 バルバドスは人口の9割がアフリカ系ということで、空港や町で見かける人々はほぼ全員黒人さんです。 アジア系は僕とフライトアテンダントの数名くらい。 白人はほとんどが観光客です。 気温は夜でも30度近く。 海に囲まれていることもあり、とにかく蒸し暑かったです。 気温ゼロ度近いトロントからいきなり30度近くの気温になると結構体力を消耗しますが、暑いのは嫌いではありません。


 (写真上:バルバドス・グラントレー・アダムス国際空港)

(写真上:バルバドス・グラントレー・アダムス国際空港)

  
(写真上:バルバドス・グラントレー・アダムス国際空港)


 二日目は朝にバルバドスを出発し、アメリカ東海岸のニューアーク空港まで行きました。 この日はフライト時間が往復で10時間ほどになり、勤務時間が13時間と長丁場になるため、リリーフパイロットが同行しました。 というわけで、計3名での運航です。 おかげでフライト中は交代で休憩を取ることができました。

(写真上:飛行機への乗り降りはタラップです。)
 
バルバドスを離陸後、綺麗な景色が広がります。 アメリカ東海岸に到達するまではずっと海上をフライトします。 途中で積乱雲が多く存在し、高度を変えたりルートを変えたりして雲を避けながらのフライトになりました。 

(写真上:洋上フライトは景色が綺麗です)

 ニューアーク空港空港に到着後、乗客の皆さんが飛行機を降りた後、クルー全員でまとまって税関を通過し、そのままUターンして飛行機に戻りました。 そしてまたバルバドス空港に戻る準備をしました。 アメリカには1時間ほどしかおらず、燃料を補給し、ドアを閉め、またバルバドスまでのフライトです。
 
 バルバドスに戻ってきたのは午後7時頃でした。 初日は短いレイオーバーでしたが、二日目はやや長めのレイオーバーでした。 ところがここで問題発生! クルーのホテルの予約がうまく入っておらず、ホテルを3軒もたらい回しにされ、着陸から3時間後にやっとホテルにチェックインできました。 なんでも、クルーズの乗客が多く滞在しているのでホテルがどこも満室で、さらには現地の航空会社がストに入ったとのことで、これまた多くの人が島で足止めを喰らっていたそうで、これがホテルの満室度に拍車を掛けた形となりました。 その夜はクルーとホテルのプールサイドで食事をし、ビールを飲みました。 

 次の日は正午にホテルからピックアップされることになっていたので、午前中はフリー。 せっかくなのでホテルの周辺を散策しました。 

(写真上:滞在したホテル)
 
  
(写真上:ホテルの前ではフルーツスタンドでパイナップルを切る光景が見られました)

(写真上:ビーチ沿いにボードウォークがありました)

(写真上:気温30度以上! 南国です。)

(写真上:道は細く、日本と同じ左側通行です。 走っている車のほとんどは日本からの輸入中古車です)

(写真上:ビーチはどこも白い砂浜と青い海で、美しいの一言。)


 3日目もニューアーク空港までまず飛んで、そこからトロントにフェリーフライトという感じでした。 空港に到着し、乗客の皆さんが待っているロビーの前を通ると拍手が起こりました。 どうやら、乗客の人たちは数日も島から出ることが出来ず、不満たらたらだったようで、そこにようやくパイロットや客室乗務員が現れたことで「やっとアメリカに帰れる!」という安堵感からの拍手だったようです。 なんだかちょっとヒーローになったような感じでした(笑)。 

 ニューアークまでの洋上でもやはり積乱雲が多く発生していて、結構揺れました。



(写真上:島々はどこも海がエメラルドグリーンです。)


 上の写真は気象レーダーの写真です。 黄色や赤が積乱雲です。 ニューヨーク航空管制に飛行高度を36000フィートと制限されてしまったため、途中で積乱雲を避けきれることが出来ず、雲の中を飛ぶ時間がしばらくありました。 結構揺れました(笑)。 

 トロントに戻ってくると気温はゼロ度。 バルバドスに行っている間にトロントでは初雪が降ったそうです。  暑いところもいいですが、凛とした冷たい空気も悪くありません。
 
 今回一緒に飛んだ機長はジャマイカ出身のパイロットで、カリブ海の地理をよく把握していて、フライト中にいろんなことを教えてくれました。 おかげでとても楽しい初めてのカリブ海へのフライトとなりました。 バケーションで行ってみたいところですが、物価が結構高い場所のようです。 でも、英語が通じるし、海は綺麗だし、いいところだという印象を受けました。 たった小一時間外を歩いただけでも日焼けしました。 そろそろ休暇が欲しいところです。


(つづく)
 


2 件のコメント:

ほたて さんのコメント...

はじめまして。

私は女性ですが、パイロットになりたいと進路を決めるときに悩んだことを思いだします。

レスキューミッションなどがあるのですね。お疲れさまです。

海外の航空会社に勤務すると、日本の航空会社よりも大変なことはありませんか?

Youhavecontrol@gmail.com さんのコメント...

ほたてさん

日本の航空会社で働いたことがないのでなんとも言えませんが、こちらのほうがいろいろ自由度が高いという話は聞きます。 休暇のリクエストや、毎月のスケジュールなどです。 大変なことは夜中のフライトなどが多いことでしょうか。 日本の場合は国内線パイロットの場合には空港の門限などのため、朝早くや夜遅く飛ぶということは少ないと聞きます。 こちらの場合は国がでかいですし、国際線も多いため、夜中0時過ぎに出発する便や、到着が早朝というフライトもあります。 そういうのは身体に応えます。